ベビースイムの効果を検証する

住んでいる地区のスイミングスクールには、生後2ヶ月から6ヶ月までの無料ベビースイムクラスが用意されています。我が子が通いだして、3ヶ月ほど経ち、顔をつけたり、水中で足をバタバタできるようになったり、成長を見られるのが嬉しいです!

小児科医パパ”は泳げないので、我が子には泳げるようになって欲しいと思っています。さて、今回はベビースイムのメリット・デメリットに関して、科学的な根拠を調べました。

結論:科学的根拠に基づく
ベビースイムのメリット・デメリット

  • お肌が悪くなる可能性があるので、ベビースイム後にはしっかりとスキンケアをしましょう。
  • 塩素プールは将来的なお肌のダメージに関係しそう。なるべく塩のプールが良いかも。
  • ベビースイムは、将来的な小児喘息のリスク因子とはならない。(逆に、プールに通うと小児喘息が良くなるという根拠は少ない。)
  • 「赤ちゃんの免疫が強くなり、丈夫な体になる」というのは真実ではない可能性がある。逆に、気道感染や中耳炎が増えるリスクがあるので、しっかりとケアをしてあげよう。

注意

 小児科医パパは臨床研究の専門家でもあるので、科学的根拠にはうるさいです。海外文献を調べ、吟味しますが、研究デザインによってはバイアスや交絡因子が関係し、そもそも効果がない研究結果(Negative study)であれば、論文にはされないことが多く、信頼性のある客観的な事実を知ることは難しいと考えます。今回は難しい話は抜きにして、海外文献に載っている一般的な科学的根拠を調べました。(日本からは信頼できるベビースイムの研究がありませんでした。)

根拠に基づくベビースイムのメリット

残念ながら、しっかりと科学的に検証されたベビースイムの有効性は報告されていませんでした。しかし、論文化されていない≠科学的に根拠がない、ということではありません。

 小児科医パパ今までの体験から、「スキンシップが増える」「赤ちゃんが楽しそう」「夫婦で赤ちゃんの成長が楽しめる」「夫婦の良い気分転換になる」などのメリットを得ました。そして、何より、ベビースイムの時に、ヨメが楽しそうというのが、科学的根拠以上のメリットだと考えています。

一方で、巷には、「赤ちゃんの免疫が強くなる」「丈夫な皮膚を作る」「発達を促す」というような、触れ込みがあります。これはベビースイムに期待したいことではありますが、科学的な根拠はありません。逆に、感染のリスクが増える可能性、湿疹が悪化する可能性があり、注意が必要です

ベビースイムのデメリット

1. 幼稚園での湿疹増加のリスクになる

ベルギーでの横断研究によると、乳児湿疹を持つ赤ちゃんが、塩素プールでベビースイムを続けることで、幼稚園時点で湿疹を持つ確率が3.3倍増えるそうです。一方、乳児湿疹がない赤ちゃんはベビースイムをしても、幼稚園時点での湿疹を持つ確率は増えなかったようです。(Chaumont A, et al. Environ Res. 2012;116:52-7)
→乳児湿疹があるお子さんは、スイム後のスキンケアをしっかりしましょう!

そういえば、我が家も1つ目のプールは塩素が入っているプールでした。ベビースイム後はほっぺたが真っ赤になりました。今のプールでは塩素水の代わりに、塩水を使っています。そして、ベビースイムの後にしっかりとセタフィル軟膏(保湿剤)(※日本では、ワセリンやヒルドイドなどが良いと思います。)を塗ることで、皮膚の状態は良好です。

2. スイミングは気管支喘息のリスクにならない

イタリアからのメタアナリシスで、日本小児科学会の海外誌に投稿されています。メタアナリシスは入手できる全ての文献をまとめた報告なので、信頼性があります。それによると、乳児期からのスイミングで、医者が診断する気管支喘息の有病率は増えないし、減りもしないそうです。(Valeriani F, et al. Swimming attendance during childhood and development of asthma: Meta-analysis. Pediatr Int. 2017;59:614-621)

3. ベビースイムは感染や喘息症状のリスクとなる

一方で、ベビースイムは気道感染や中耳炎、喘息様症状のリスクとなる様です。

ベルギーの3万人の前向き研究によると、ベビースイムは将来的な喘息様症状のリスク因子となる。(Nystad W, et al. Baby swimming and respiratory health. Acta Paediatr. 2008;97:657-62.)

フィンランドの前向き研究では、アトピーのある乳児では、ベビースイムでライノウイルスによる喘息症状が増えると報告されている。(Schuez-Havupalo L, et al. Association between infant swimming and rhinovirus-induced wheezing. Acta Paediatr. 2014;103:1153-8.

3000人近くのノルウェーの研究では、ベビースイムで中耳炎や風邪を引く回数が増えるという結果が出ている。(Nystad W, et al. Baby swimming increases the risk of recurrent respiratory tract infections and otitis media. Acta Paediatr. 2003;92:905-9.)

まとめ

ベビースイムには、科学的に検証されたメリットの報告はないけど、
ヨメと我が子が楽しそうだし、良いスキンシップの機会になるから、このまま続けます!なんたって、我が子が泳いでいる姿は愛おしいので!!
感染のリスクや、肌が悪くなる可能性がある。
  • ベビースイム後はしっかりと体を拭いて、たっぷりと保湿剤をつけてあげましょう!!
  • ベビースイム後は、風邪がうつらない様に、なるべく他の子どもとの接触を避けて、温かい格好をして、早く帰るのが良いかもです。

お母さん、お父さんに有用な情報を提供していきます。よろしければ、フォローください。

ベビースイムの効果を検証する” に対して2件のコメントがあります。

  1. ぽにょこ より:

    こんにちは。
    もしよかったら子供のプールにおけるスキンケアの方法を教えてください。

    1. 小児科医パパ より:

      >ぽにょこさん、
       
       ご連絡をありがとうございます。スキンケアの方法、大切ですよね!!
       このテーマに関して、近日中にブログ内でぜひお話ししたいと思います。
       塗り方、どのタイプ(軟膏、クリーム、ローション)が適しているかなども内容に含めたいと思います。

コメントは受け付けていません。