便の性状(形)や色をチェックしよう!
乳児健診では、うんちのことで質問されることが多いです。
「うちの子、うんちの色が緑ですけど大丈夫でしょうか?」とか、「うんちがいつも1週間でないです」などが多い気がします。
子どものうんちは多くのことを教えてくれます。
「うちの子は、柔らかなウンチだから便秘じゃないです」というお子さんも、ひどい隠れ便秘となっていることもあります!!お子さんのうんちを詳しくみて、我が子のうんち博士になりましょう!
なお、大人のうんちも多くの病気を教えてくれます。赤・白・黒のうんちには、病気が隠れていることがあります。
お母さん、お父さんも、日頃から自分のうんちをチェックしてみてください。
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ブリストール便スケールで、うんちの形を評価しよう
これは医者がよく使う、うんちの形スケールです。特に、排便日誌(うんちの記録)をつけている人は、毎日チェックしてもらえると、非常に助かります。
排便日誌は日本小児栄養消化器学会のサイトから入手できます。
解説
うんちを腸に溜めた場合:水分が徐々に腸から体の中に吸収されるので、うんちは硬くなっていきます。
ブリストール1のうさぎの様なコロコロした便の場合、便秘の可能性が高いです。腸の中にはゴツゴツした便(ブリストール2)が残っていて、その巨大うんちの一部が干からびて、ぽろっと落ちたのが、ブリストール1のコロコロ便です。
そのため、コロコロ便の場合は、大きなウンチが腸にまだ残っているかもしれないと考えてください。
一方、実は柔らかい便の時も便秘の可能性があります。
便秘でも、うんちが柔らかいことがある!
こちらのお子さん(仮)は、1-2歳まで便秘に悩んでいたけど、その後は便秘は良くなっていたそうです。しかし、7歳になって、うんちが下着についたり、便の回数が増えたため、受診されました。
”小児科医パパ”のところには、下痢をなんとかして欲しいと、他の先生から紹介されてきました。しかし、その実態は、黄色で囲む様な巨大ウンチが邪魔をしていた便秘が、下痢の原因だったのです。
巨大なうんちが直腸に溜まっていて、その脇から柔らかな便が漏れているのでした。腸は伸びたり、縮んだりするので、硬いウンチが蓋をしていても、その脇をすり抜けて、少量の柔らかなうんちが出てくることがあるのです。
これを、医学的には漏便(ろうべん)(fecal impactionに伴うfecal or overflow incontinence)といいます。
2-3歳以上のお子さんで、柔らかいうんちだけど、下着に少量のうんちが1日に複数回付いたり、数日出ていないうんちの量が少ないお子さんは隠れ便秘かもしれません。
一方で、ただ腸での食べ物の吸収が良くて、うんちの量が少ないだけかもしれません。そのため、本当に便秘かどうかを見極めることが重要です。
お腹を触って、うんちが詰まってないか、お腹がはったり、硬くなっていないかをチェックして、隠れ便秘を探す必要があります。
便秘を疑えば、お腹を触ってみよう!!
子どもは痩せていたり、腹筋がまだ弱いので、優しくお腹を触ってあげると、硬いうんちが触れることがあります。
お腹の触り方:
小児科医は、便秘を診断する時に、お腹を触って硬いうんちが腸に詰まってないかをチェックします。その時に、お腹の触り方を教えてもらってください。
もし、硬いウンチが触れるとしたら、その感覚を知るために、お母さんやお父さんも一緒に触らせてもらってください。そうすれば、家でも便秘チェックができます。
注意点としては、急に強くお腹を触られると子どもは嫌がります。大人と同じです。あやして遊びながら、ゆっくり優しくお腹を触るか、これからお腹に触れることを教えて、子どもの了承を得てから、触る様にしてください。
うんちの色もチェックしよう
便の色は非常に重要です。緑色の便は心配いりません。胆汁の成分が、酸素に触れて酸化されて、黄土色から緑色に変わっただけです。
注意が必要な便の色は、白色(クリーム色)、赤色、黒色です。
白色:乳児期早期のお子様で、白色の便が出た場合はすぐに小児科を受診ください。胆道閉鎖症など、うまく胆汁が消化管に出ない病気が隠れているかもしれません。他の可能性として、ロタウイルス腸炎やミルクの消化不良、5歳以上であれば偽膜性腸炎の可能性があります。
赤色:一番多いのは、裂孔(切れ痔)です。その他に、セフゾンなど抗菌薬を飲んだ後に便が赤く着色する場合があります。
①血便以外の症状がなければ、母乳栄養児に多いリンパ濾胞増殖症、大腸ポリープ、メッケル憩室、クローン病などが考えれれます。
②お腹が痛いや発熱など症状があれば、腸重積など外科疾患、潰瘍性大腸炎やクローン病、一部の免疫不全症候群、膠原病などが考えられます。
黒色:一番多いのは、鉄剤を飲んだ後です。
他に、胃や十二指腸からの出血の可能性もあります。小児期から、ピロリ菌による潰瘍を経験することはあります。0−3歳まではピロリ菌による胃潰瘍の可能性はありませんが、ノロウイルスなどによる十二指腸潰瘍は経験があります。
まとめ
お子さんのうんちは多くのことを教えてくれます。
この機会に、お子さんのうんちだけではなく、ご自身の便も注意深く観察する習慣をつけてみてはいかがでしょうか?