便秘の治療(生活習慣の改善)

我が子のうんちはやはり3-4日に1回程度。我が子はまだ離乳食を始めたところなので、食事での改善は難しいかなー。でも、せっかくなので、アメリカのスタイルも取り入れた便秘に対する生活習慣の改善方法を勉強しました。

  1. 3歳までの便秘の定義と症状は?
  2. 便の性状(形)や色をチェックしよう!お腹もチェック。
  3. 3歳までの便秘の原因って何があるの?
  4. トイレットトレーニング
  5. 便秘って放っておくと、将来の出世にひびく?
  6. 便秘の治療(生活習慣の改善)
  7. 便秘の治療(ゴッドハンド編)
  8. 便秘の治療(使う薬の種類)

治療の原則

便秘を良くするには、①うんちを柔らかくする。水分を含んだうんちのまま排便する、②腸を動かして、うんちが出やすくする、③うんちが直腸に溜まっていれば出してあげる、ことが大事です。

生活習慣を改善は「①、②のうんちを柔らかくして、腸を動かす様にする」ことを目標にしています。体を動かすことは、腸を動かすことに繋がると考えられますが、0−3歳までは運動が良くするというエビデンスは見つけられなかったので、食事療法のみをお話しします。

なお、トイレットトレーニングも便秘を悪化させる原因になりますので、こちらもみてください。

排便日誌を活用しよう

うんちの日誌をつけてみてください。そこから、お子さんのうんちの法則が何かわかるかもしれません。日頃の外来で「小児科医パパ」は、その日誌を通して、より具体的なアドバイスをしています。
排便日誌は、かかりつけのお医者さんから手に入れることができます。持っていなければ、日本小児栄養消化器肝臓学会のホームページを通して、ダウンロードすることができます。

書き方は、便の性状(形)や色をチェックしよう!お腹もチェック。を参考にしてください。

0−3歳の便秘に対する食事療法を考える

今回は、便秘に効果がありそうな食べ物ではなく、文献上で有効と言われているモノをお話しします。

① 100%ジュース(プルーン、りんご、洋ナシ)(Up-to-dateより参照)
 ※ただし、1歳ー6歳までは1日120-180mL以上は与えない。7歳以上は1日120mL以上は与えない。我が子は0−3歳までは、ジュースを与えない様に考えています。。
 ※アメリカでは1歳とかでもジュースを与えています。しかし、100%ジュースでも虫歯や肥満が怖いので、私は3歳までは勧めません。虫歯や肥満が怖いです。 
 ※他のジュースには、エビデンスはない。日本では、りんごジュースでしょうか。。。

② 水分
これも注意が必要で、1歳以上で1日960mL以上 ミルクや水分を飲んでいるお子様に関しては、それ以上与えても意味がないとなっております。

③ ファイバー(食物繊維)を必要数とる

便秘の予防には『お子様の年齢+5−10g』の食物繊維を摂る様に勧められいます。逆に、これ以上食物繊維をとっても意味がないとなっています。(1歳のお子様なら、1日6−11gです)。

 ※ファイバー(食物繊維)には2種類あります。①水に溶けるタイプ(水溶性ファイバー)は、水に溶けて、腸内細菌の餌になることが多いです。②水に溶けないタイプ(不溶性)が便秘に効果があるとされていますが、なかなか分けて考えるのは難しいので、トータルで上記の目標量を考えましょう。

[1] Williams CL, et al. A new recommendation for dietary fiber in childhood. Pediatrics 1995; 96:985.
[2] Tabbers MM, et al. Evaluation and treatment of functional constipation in infants and children: evidence-based recommendations from ESPGHAN and NASPGHAN. J Pediatr Gastroenterol Nutr 2014; 58:258.

牛乳、ヨーグルト神話

さて、ヨーグルトなどの乳製品は、便秘を悪化させる可能性があるので、便秘中は推奨しないというのが、世界のスタンダードです。

アメリカ小児科学会やUp-to-dateという世界中の医師が参照するサイトで、乳児の便秘にヨーグルトを推奨する記載はありません。むしろ、「You may want to avoid giving (or give smaller amounts of) certain foods while your child is constipated, including cow’s milk, yogurt, cheese, and ice cream.」と、ヨーグルトやチーズなどの乳製品は便秘時に避けたほうが良いかもと記載されています。

日本小児栄養消化器肝臓学会の(患者さん向けの)パンフレットには、「離乳開始後の赤ちゃんでは、毎日少しずつヨーグルトを食べさせることで便通がよくなる場合があります。」という記載がありますが、医師向けのガイドラインには)「プロバイオティクスは慢性機能性便秘症の治療に有効か」という項の内容で反対のことを言っております。
 数々の臨床試験でのエビデンスとしては、牛乳のヨーグルトは子どもの便秘に有効だという結論はないが、やぎのヨーグルトにプロバイオティクス(良い腸内細菌)を加えたものでは、ブラジルの5-15歳の59名の報告では有効であったと。。やぎのヨーグルトはどこで手に入るのか。。。しかも、ブラジルからの報告で、中国の雑誌に投稿しているものを引用するなんて。。。

腸内細菌叢を良くする??

腸内細菌叢を良くするために、ヨーグルト、オリゴ糖、プロバイオティクスを与えているお母様がたもいるかもしれません。

・ヨーグルトは逆に便秘を悪くしているかもしれません。

・オリゴ糖やプロバイオティクスに関しても、きちんとした雑誌に掲載されている小児を対象にした研究はありません。(少人数や、有名ではない雑誌(つまり科学的検証が甘い雑誌)に投稿されている論文はありますが。。。)

そもそも、便秘のお子様が、腸内細菌叢が健康なお子様と比べて明らかに違うという報告はないし、オリゴ糖やプロバイオティクスを摂取することで、便秘が良くなり、腸内細菌叢が良くなったという研究もありません。

感想

お子さんが便秘で困っていると、なんとかしてあげたくなり、色々と良いと言われている商品に手を伸ばすことになります。

気持ちは分かりますし、”小児科医パパ”もその様な(子どもにとって良いんじゃないかという)商品に手を出しています。

何度も言いますが、ヨーグルト、プロバイオティクス、オリゴ糖には、子どもの便秘を絶対的に良くするという、きちんとした雑誌に認められた臨床研究の報告はありません。そして、日本で適正量として売られている量では効果がないと思います。なので、わざわざ高いお金を出して、買う必要はありません。
一方で、効くお子様もいるかもしれませんので、使用したい方は使用しても良いと思います。

便秘のための生活習慣改善のまとめ

便秘の排便日誌の活用、十分な水分(1歳以上で1日1000mL)、十分な食物繊維(1日:年齢+5g)です。3-4歳以上なら、りんごジュースも有効かと思います!!

お母さん、お父さんに有用な情報を提供していきます。よろしければ、フォローください。