community pediatricsとは
私が日本で進めていきたい分野として、community pediatricsという分野があります。
アメリカ小児科学会(AAP)によるとcommunity pediatricsは以下のように定義されています。
Community Pediatrics: Navigating the Intersection of Medicine, Public Health, and Social Determinants of Children’s Health
「子どもたちに、社会的、文化的、環境的に、子どもたちに良い影響を及ぼすことを推し進めるのと同時に、地域社会の中で子どもの健康に良くない影響を及ぼす可能性のあることにも声をあげていく。なぜなら、子どもは地域社会の一部であり、家族、教育、社会、文化、スピリチュアル、経済、環境、そして政治によって、子どもの健康は左右されるからです。」
アメリカで小児科研修医をしている人に話を聞いた時に、community pediatricsという分野があり、研修プログラムの一環で、スラム街に行って炊き出しをしたり、そこに住む子どもたちや青年の方を診察したり悩みを聞いたりする研修があると聞きました。
最近の小児科の分野は、一般的な感冒、肺炎、喘息のような急性疾患の管理から、様々な慢性問題、行動問題、家族および社会問題、発達の遅れ、栄養および成長の睡眠問題に関連する問題、学習障害、および最近では多くのデジタルメディアへの過剰な曝露を扱う分野へとその性質を変えつつあります。加えて、適切な身体活動、嗜癖、事故および様々な種類の虐待のようなライフスタイルの問題は、小児科医の役割の一部になりつつあります。これまでの病院ベースの小児科研修医トレーニングでは、これらに対応できることを学ぶ機会が少ないです。
Kuint J, Porter B. COMMUNITY PEDIATRICS IN ISRAEL DURING THE NEXT DECADE – A NEED FOR A CHANG. Harefuah. 2018 Oct;157(10):646-649.
そのため、病院の外で、または病院に来る前の段階で困っている子ども達(相対的貧困、LGBT、肥満・痩せ、虐待など)に接することが出来る小児科研修プログラムが日本にもあったら良いなと思いました。
こうしたことを学べる土壌を地域社会の中から見つけ、そこで小児科医として何か関われることを見つけられるようにしたいです。