いいプレゼンの基本:世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられているプレゼンの基本(田口力 著)

プレゼンは多くの場面で求められ、時たまに将来を左右する可能性がある。私も多くのプレゼンをしてきたが、この本ほどプレゼンの本質を捉え、手とり足とり教えてくれる本には出会ったことがない。

プレゼンを作成する時のプロセス ーABCDEー

①聞き手の分析 (A – Analyze Audience)

②メッセージ構築 (B – Build Message)

③スライド構成 (C – Construct Slide)

④伝え方の工夫 (D – Deliver Presentation)

⑤聞き手への魅了 (E – Engagement)

Analyze Audience:聞き手の分析

プレゼンは、自分が言いたいことを自分が思う通りに伝えるのではなく、聞く側の人が聞きたいことを、聞く側に受け入れられるように伝えることが肝心。

そのためには、聞き手を分析する必要がある。

①「意志決定権者 (Primary Audience)」と「その人に準ずる意志決定権者 (Secondary Audience)」を特定せよ。
そして、彼らに全体のエネルギーの50-60%を注ぐ。全体に均等に話しかけてはいけない。

② 次に、彼らとその他の参加者の情報を集める。
    具体的に必要となる情報 
 - 職位、肩書き、年齢、性別
 - 価値観、ニーズ、不満、ストレス
 - トピックに関する知識や立場
 - 技術的専門能力
 - 主たる関心事
 - あなたのメッセージに対する潜在的な反対意見 

③そして、聞き手の立場に立って、自分が伝えたいメッセージを「彼らのメリット」として訴求する形に変換する。

プレゼンの目的は、「情報を伝えること」なのか、「相手を説得すること」なのか

日本人が行うプレゼンにありがちなのは、本来の目的が「説得すること」なのに、前段の「情報を伝えること」で終わってしまっていることがある。

一方で、プレゼンの目的で設定した内容は、「あなたの目的」であって、意志決定権者の意に沿っているかどうかはわからない。そのため、聞き手の立場に身を置き換えて、次の2つの視点からプレゼンを見つめ直す必要がある。

① 自分の話には、「聞き手の具体的なメリットを訴求できるほどの魅力」があるか

② 提供する情報には、「聞き手が具体的な行動を取るための十分な説得力」があるか

聞き手の中には自分の提案に反対する立場の人もいる
3つの「P」で相手を味方につける

① 前提 (Premise)
あなたの提案内容に、賛成する人であれ、反対する人であれ、覆しようのない前提を共有できれば、聞き手はあなたの話の筋に沿って話を聞いてくれる。抵抗勢力に対して真っ向から相対するのではなく、「自分たちの利害は共通している」という前提を示す。そのためには、例えば業務改革を推進するあなたも、それに反対する人も、同じ会社の同じ使命を達成するために働いているという前提を共有する。

② 話の筋 (Plot)
まず、前提として取り上げた状況や環境の周囲で、何が起っているのかを語る。そして、それが前提としての状況や環境に、どのように影響をしているのかを語る。
 例:(前提として)自社の取り巻く環境は日本の不況も相まり、さらに悪化している。
   (話の筋)更に、主要な顧客企業から20%のコストダウンを要求されている。

③ 登場人物(People)
その人物や部門の性格・性質について描写することに加え、「前提」における役割や、「話の筋」に対する人や部門の反応を提示する。

 

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