ディズニーCEOが実践する10の原則 (ロバート・アイガー 著)

冒頭のプロローグから、著者の心優しさ・直向きさ・誠実さが垣間見れる本である。興味をもったのは、ビル・ゲイツが2020年夏におすすめしたい本として、本作品をあげていたからである。

10の原則とは

1. 前向きであること
2. 勇気をもつこと
3. 集中すること
4. 決断すること
5. 好奇心を持つこと
6. 公平であること
7. 思慮深いこと
8. 自然体であること
9. 常に最高を追求すること
10. 誠実であること

好きな文章

リーダーは、周りの人間が積極的に困難に挑戦し、より大きな責任を引き受けるよう励ますべきだが、一方で、望みの仕事ばかりを夢見て今の仕事がおろそかにならないようにしなければいけない。野心が先走りすぎるとチャンスを摑めない。特定の仕事やプロジェクトを狙っていても、実際にそれが手に入るチャンスはほとんどない場合も多い。遠い将来のかすかなチャンスにしか目が向かないと、問題が起きる。今の仕事に耐えられなくなるのだ。別の何かを追い求めるあまり、目の前の責任をきちんと果たせなくなる。そうなると、野心が仕事の邪魔になる。上手にバランスを取ることが大切だ。つまり、今ある仕事をうまくやり遂げ、じっくり構えて、出番を探して成長しながら可能性を広げ、何らかのチャンスが現れた時に、自らの勤勉さと熱量と集中力を発揮して、上司から頼りたいと思われる人間にならなければならない。逆に、上司の立場ならば、そんな人間を育ててほしい。昇進を追い求め、自分が活用されていないと文句を言う人間ではなく、自分がかけがえのない人材であることを日々証明し続けている人間に、目をかけてほしい。ほかの多くのこともそうだが、トムとダンはこの点でも素晴らしいお手本だった。彼らは私の成長に投資し、私に成功してほしいと伝え続け、私が学ぶべきことを学べるように障害を取り除き、昇進して経営者になるための道を作ってくれた。私はその一歩一歩の段階で必死に努力し、できる限りのことを吸収した。私が成果をあげれば、彼らがより大きな仕事を与えてくれるとわかっていたからだ。そのおかげで、私は二人に深い忠誠を感じるようになっていた。

人は誰しも、自分に代わる人間はいないと思いたがる。だが、客観的に見れば、この仕事ができるのは自分ひとりだという考えにしがみついても意味がないとわかるはずだ優れたリーダーシップとは、代わりのいない存在になることではない。誰かを助けて自分の代わりになる準備をさせてあげることだ。また、意思決定に参加させ、育てるべきスキルを特定し、その向上を助け、時にはこれまで私がやってきたように、なぜその人がまだステップアップできないのかを正直に教えてあげることでもある。

1. 前向きであること

・リーダーは周囲に悲観的な見方を振りまいてはいけない。それが社員の士気をくじいてしまう。活力と閃きが消えてしまう。そして、守りの姿勢で意思決定がなされてしまう。
・部下をやる気にさせるには後ろ向きの姿勢は役に立たない。
・苦しい時にはとりわけリーダーの前向きな姿勢が欠かせない。
・前向きと明るさは、組織の働きを変える。

前向きな態度とは、うまく行っていないのにうまくいっていると取り繕うということではなく、「なんとかなるさ」という勝手な自信を伝えることではない。それは、自分と周囲の人が最高の結果に向かって突き進むことができると信じることであり、物事が思い通りにいかなければ全てを失ってしまうといった思い込みを周囲に振りまかないことである。
リーダーの姿勢と雰囲気は周囲の人にとてつもない影響を与える。

過去は変えられない

私は過去をどうすることもできません。ですが、自分が学んだことを話し、これからその教訓をしっかりと生かしていくことはできます。やり直しはきかないんです。皆さんがお知りになりたいのは、これまでのことではなく、これから私がこの会社をどこに向かわせるかですよね。私の計画を聞いてください。

優先事項は3つまで

リーダーは、何が一番大切なのかを誰にでもわかるように何度も伝えなければならない。リーダーが組織の優先課題をはっきりと分かりやすく伝えることができないと、周りにいる人たちも何に力を入れたらいいのか分からない。

解雇など相手に難しい話をする時

誰かを解雇したり、権限を取り上げたりすることは、上司としておそらく最も難しい決断だ。すでに多くを成し遂げた人たちに悪い知らせを届けなければならなかったことが、私にも何度かある。その相手の中には友達もいたし、私が任命した場所で花開くことができなかった人もいた。クビを言い渡すのにいい方法などないが、私には自分の中で決めているルールがある。

・直接言い渡すこと。電話ではいけないし、メールやメッセンジャーなどはもってのほかだ。

・相手の目を見ること。

・誰かのせいにしないこと。決断を下すのは自分だ。

・その人の人間性ではなく、仕事の成果を評価すること。

・そしてあなたが決断を下したということを相手に知らせなければならない。クビにすると決めて呼んだら、世間話はいらない。私はいつも、こんな風に切り出す。「今日ここに来てもらったのは、難しい決断をしたからだ」

・それから、できるだけずばりと問題を指摘し、何がうまくいっていないのか、その状態がなぜ変わらないと思うのかをはっきりと簡潔に説明する。

・またこれが私にとって難しい決断であること、そして相手にとっては一層辛いことはわかっていると語ることにしている。このような場合に、上司がよく遠回しな表現を使うことも多いが、それはむしろ失礼だと私は思っている。痛みを伴わずにクビを言い渡すことはできないが、少なくとも正直に接することはできるし、こちらが正直に打ち明けることで相手はなぜこんな事態になったのかを理解し、たとえその場を去る時点では頭にきていても、いつかは気持ちを切り替えられるようになる。

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