カナダ・オンタリオ州の医師州免許申請(2022-2023年度)

カナダの医師州免許申請

カナダでは医師免許を州ごとに管理しており、実際に臨床に携わる場合は勤務する州でライセンスを取得する必要があります。トロントを含むオンタリオ州の場合、the College of Physicians and Surgeons of Ontario (CPSO)への申請が不可欠で、ここからライセンスが発行されます。オンタリオ州では、日本で専門医資格(たとえば日本小児科学会専門医)を有していれば、clinical fellowとしての医師免許を取得することが可能です。つまり、SickKids(トロント小児病院)やTGH(トロント総合病院)に、日本の専門医があれば研修できるのです。アメリカのようにUSMLEなどを取得する必要はありません。

臨床留学では、多くの方がClinical Fellowとして採用され、大学関連の病院(トロント大学やウェスタン大学など)を通じてEducational CertificateまたはEducational Licenseを発行してもらう流れが一般的です。ほとんどの手続きはオンラインで進められますが、厚生労働省や所属学会(たとえば日本小児科学会)、専門医機構などに書類を依頼する作業が一部必要になります。卒業した大学からCPSOに直接書類を送付する手続きもありますが、やり取りは基本的にメールで問題なく進められました。
さて、この手続きをおさらいしてみましょう。

第一段階:クリニカルフェローのポジションの取得

1. 研修先(ホスト大学・病院)から正式なポジションのオファーを得る

• オンタリオ州の大学(例:トロント大学、McMaster大学、Western大学など)や関連病院のプログラムディレクターから、クリニカルフェローとして受け入れる旨の正式なレター(Job Offer Letter/ Appointment Letter)を取得します。

2. プログラムからの手続き案内を受け取る

• 多くの場合、プログラム担当者からCPSO登録手続きの案内や必要書類のリストが提供されます。

2. CPSOへのアプリケーション(申請)準備

2-1. オンラインアカウントの作成

CPSOのメンバーシップ登録ポータルにアクセスして、自分用のオンラインアカウントを作成します(CPSOが提供する “PhysiciansPortal” など)。

• 新規ユーザー登録後、申請に必要なフォームや書類アップロードページにアクセスできるようになります。

2-2. 必要書類の収集

クリニカルフェローとして登録する際、主に以下の書類が必要とされます(状況により追加書類を求められることもあります)。

1. 医学学位証明書(Medical Degree)

• 卒業大学の医学部から発行された卒業証明書や学位証明書の原本と、その英語翻訳。これらは、卒業大学から直接CPSOにe-mailで送ってもらう必要があります。

• 公的翻訳(英語)や認証手続きが必要になります。私の場合は、Googleで翻訳証明をしてくれる翻訳会社に頼みました。特に、カナダの施設に認証されている翻訳会社ではなくても問題ありませんでした。

2. 専門医資格や研修歴の証明(Postgraduate Training)

• 現在までのレジデンシーやフェローシップなどの研修歴を証明する書類(各プログラム責任者または学務課からのレターなど)。
これは、#3とも関連しますが、ここが最も時間を要するパートとなります。

3. CONFIRMATION OF STANDING BY MEDICAL LICENSING AUTHORITY

Confirmation of Standingは、日本などで、医療過誤などによる行政処分を受けていないことを証明するために必要な書類です。CPSO(the College of Physicians and Surgeons of Ontario)が指定した専用フォームがあり、このフォームを厚生労働省医政局へ、英語の「籍登録事項証明書」申請書とあわせて郵送します。厚労省と所属学会に記載してもらう箇所があります。

 
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• 厚生労働省医政局の対応

・こちらの記載だけでなく、同時に「行政処分関係英文証明書」も作成してもらうよう申請すると安心です。こちらはCPSOが用意する書式ではなく、厚生労働省側の独自様式で発行されます
• 書類作成に約1か月ほどかかります。
• 完成した書類は、申請者ではなく厚生労働省からCPSOへ直接e-mailで郵送してもらう必要があります。

・専門医資格やトレーニング期間の記載について

CPSO指定のフォームには、専門医資格の取得年月日や研修を受けた施設などを記載する項目があります。しかし、厚生労働省ではこれらの項目を埋めることができないと回答される場合があります。そのため、同じCPSOフォームのコピーを学会(たとえば日本小児科学会)にも送付し、該当箇所を学会側で記載してもらうという対応が必要になることがあります。専門医機構にお願いしたら断られましたので、日本小児科学会に記載をお願いしました。

4. 医療に従事しなかった期間の宣言書

• 医療から離れた期間が6か月を超える場合は、公証が必要です。

5. 証明写真、身分証明書(Passportなど)

• 有効期限内のパスポートのコピー(認証が必要な場合もあります)。

6. 就労許可またはビザ(Work Permit)

• クリニカルフェローとしてカナダに滞在するための就労許可書類(病院や大学からの雇用のための書類が必須になるケースもあり)。
・なお、Work Permitの申請時に、パートナーのopen work permitを同時に申請すれば、トロント到着後に、パートナーも仕事を開始することができます。

7. 語学力証明(英語力)

CPSOへの提出は不要です。ただし、job offerをもらう段階で、IELTSやTOEFLなどの英語力試験のスコア提出を求められる場合があります(トロント大学では、ILTSで全て7以上、あるいは USMLEを全て終了(step3まで)などを要求される場合があります。)。母国語や既存の英語プログラム修了証明などで免除されるケースもあります。

• 過去の大学や病院での研修・業務上の英語使用実績で代替できることもあります。

8. 日本の医師免許証明書(Certificate of Professional Conduct)

• 日本の医師免許証や、警察署からの「無犯罪証明書」(良行証明書)が必要になることがあります。

• これはCPSOに「申請者が他国で医療活動をする上で問題がなかったか」を示すための書類です。

9. 推薦状(Reference Letters)

• 指定数(2〜3通程度)の推薦状が必要になることがあります。主に所属病院の上席医師や教授などが書き、直接CPSOへ送付するケースが多いです。

3. CPSOへ正式申請

1. オンラインフォームへの入力

• 個人情報、学歴、研修歴、医学的経歴、現在保持している他国の医師免許情報などを正確に入力します。

2. 必要書類のアップロード・送付

• 2-2で準備した書類を、CPSO指定の方法で提出します(オンラインアップロードまたは郵送)。
・カナダ到着後、Work Permitも提出する必要があります。

• 卒業大学や認証機関からCPSOへ直接送付される書類の追跡も忘れないようにしましょう。

3. 料金の支払い(Application Fee, Registration Fee など)

• CPSOへの申請料・登録料をオンラインまたは指定の方法で支払います。

• 支払いが完了していないと申請が進まないので注意が必要です。

4. Criminal Record Check(犯罪歴照会)

• カナダ国内、あるいは出身国の警察当局による犯罪歴照会が必要です。
トロント到着時に対応しても問題がありませんが、時間の余裕がない場合は日本でのサービスを利用してもいいと思います。

株式会社Fingerprint Room Japan
こちらにお願いすると、6万3000円で日本で取得できますね。
https://www.fingerprintroomjapan.co.jp/ja-rcmpbackgroundcheck/

• 指示に従いオンラインで手続きするか、関連機関で証明を取得し、CPSOに提出します。

ここからは有料となります。
厚労省や、専門医が関連する学会(日本小児科学会など)には、CONFIRMATION OF STANDING BY MEDICAL LICENSING AUTHORITY を依頼する際に、全文を翻訳した書類をお渡しする必要があります。
希望の方は、関係部署にお送りした私の見本を以下のNote から購入してください。

Note (https://note.com/luckytoshi_id/n/nb36b01c45b34)

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